エレクトリックギターバッキングの打込みテクニックについて解説しています。さまざまなジャンルにおけるエレキギター打込みの基礎となりますので、バッチリマスターしておきましょう!
今日は、エレクトリックギターバッキングの打込みテクニックについて解説をしていきます。
- ロック系ストローク(パワーコード)
- ロック系リフ(ブリッジミュート)
- ファンク系カッティング
前回の記事でご紹介したバッキングパターンの中から、エレキギター固有の奏法やテクニックを用いたパターンの打込みテクニックを中心にご紹介していきます。
あらゆるジャンルにおけるエレキギター打込みの基礎となりますので、バッチリマスターしておきましょう!
エレキアレンジ基本スタイル②:エレキギターのバッキング打込みテクニック!
エレクトリックギター固有の奏法
前回の記事では「コードバッキング」「アルペジオ」「単音バッキング」に分けてエレクトリックギターのバッキングを解説しました。
その中で、アルペジオやローコードのストロークに関しては、これまでに学んでいただいたアコギの打込みの知識で対応できるかと思います。
しかし、パワーコードやブリッジミュートを使ったパターン、ブラッシング(カッティング)などはエレキギターならではの奏法です。
そこで今回は、以下の3つのスタイルに的を絞って打込み方をご紹介していきます。
- ロック系ストローク
- ロック系リフ
- ファンク系カッティング
なお、今日の記事を学ぶ際の前提知識として「主な奏法とアーティキュレーション」の記事の知識が必要となります。
ロック系ストローク
まずはロック系ストロークの打込み方について解説していきます。
エレキギターでのストロークも、コードフォームや弾き方(オルタネイトorダウンなど)、リズムの違いでさまざまなスタイルがあります。
ここでは、ロック系で多く使われるパワーコードを使った8ビートを打込んでみます。
■ ロック系ストロークの打込み
前回の記事でも解説しましたが、低音弦でルートと5度のみ使うのがパワーコードです。
右手はダウンオンリーで弾く場合と、オルタネイトで弾く場合の両方ありますが、今回はオルタネイトを想定して打込みます。
まずはサンプルを聞いてみましょう。
パワーコードを使ったストローク
音づかいはパワーコード特有の2音のみですが、弾き方自体はアコギのストロークと大差ありません。
基本的な打込み方は「ストロークの特徴と打込みテクニック」の記事、「8ビートストロークの打込み方」の項を参考にしてもらえればOKです。
2小節目最後の拍はコードチェンジのタイミングで開放弦が鳴った感じをシミュレートしています。
4小節目2拍目はブラッシングでのミュート音を、音源に収録されているアーティキュレーションで打込みました。
これまでの知識を活かして、タイミングやベロシティはランダムに打込んでいきましょう。
補足ですが、ギターは弾くポジション(ローポジションかハイポジションか)によって音が変わります。
ローポジションの方が明るく鋭い音、ハイポジションが太くまろやかな音になります。
音源によっては押弦のポジションを設定できるものもありますので気にしてみると良いでしょう。
ロック系リフ
次にロック系リフの打込み方について解説していきます。
リフといってもやはりさまざまなパターンが考えられますが、ここでは最もオーソドックスなブリッジミュートを使った8ビートのリフを打込んでみます。
■ ブリッジミュートを使ったリフ
アクセントをつけたい箇所は実音、それ以外をブリッジミュートで演奏します。
今回のサンプルでは、1拍目オモテと2拍目ウラが実音、それ以外がブリッジミュートになります。
実際に聞いてみましょう。
ブリッジミュートを使ったリフ
ミュート音は、音源に収録されているアーティキュレーションを使うか、個別のミュート系音色を使ってください。
今回使用した音源では低いノートに割り当てられたキースイッチを使って音色を切り替えながら打込んであります。
譜面上ではミュート音をルートのみで記譜していますが、実際の演奏では強めに演奏した場合などに5度の音にも軽くピックが当たってしまうこともあります。(仮にルートだけを演奏するつもりだったとしても。)
このような現象を再現すべく、今回は5度の音も軽めに混ぜてみました。
また、今回使用した音源ではベロシティによってミュート音のサスティンの長さが変わりますので、ミュート部分は弱目のベロシティで打ってあります。
このあたりは音源の仕様によって異なりますので、お使いの音源に合わせて調整してください。
ファンク系カッティング
最後に、ファンク系カッティングの打込みについて解説していきます。
ここでは基本的なカッティングのパターンを打込んでみましょう。
■ カッティング
前回の記事でも解説した通り、ブラッシングと実音の組み合わせでリズムを奏でるのがカッティングです。
ブリッジミュートと考え方は似ていますが、こちらは16ビートでのリズムが多くなります。
まずは実際に打込んだ例を聞いてみましょう。
カッティング
譜面の通り、基本は16ビートのオルタネイトになります。
基本的な打込み方は「ストロークの特徴と打込みテクニック」の記事、「16ビートストロークの打込み方」の項を参考にして打込んでみてください。
多くのカッティングパターンは、実音とブラッシングの双方をピッキングすることになりますので、事実上常に16分でピッキングし続けることになります。
今回のデモの場合は、2小節目の3拍目ウラのみ8分音符で伸ばしていますが、それ以外は常に16分音符でピッキングする想定です。
この時、16分音符ウラをグリッドジャストより少し遅めに打込み、軽くシャッフルさせるのがポイントです。
カチカチっと正確に打つよりもグルーヴィーに仕上がります。
ブラッシング箇所は、音源に用意されたブラッシング用サンプルをダウン/アップの音色で打込んでいます。
専用のサンプルが用意されていない場合は、デュレーションを思い切り短くして打込むことでも代用できます。
タイミングやベロシティはもちろん、デュレーション(ノートの切れ際)の長さでもノリが大きく変わりますので細かく調整してみましょう。
まとめ
というわけで、エレクトリックギターバッキングの打込みテクニックを解説しました。
今日ご紹介したテクニックを抑えておくことで、さまざまなジャンルの打込みに対応可能となります。
実際の生演奏と聴き比べながら、それらの特徴を忠実に反映させることでリアルなサウンドに仕上がっていきますので、たくさん研究してスキルアップしていきましょう!